ドイツ・ハイルブロンで開かれたテックイベント=五十嵐大介撮影

 欧州でデジタル分野の「脱米国依存」をめざす動きが強まっている。競争力を左右する人工知能(AI)で米中が先行するなか、欧州連合(EU)に敵対的なトランプ米政権の再来でリスクが浮き彫りとなり、EU内の開発を強化する。AI分野で出遅れる日本にとっても対岸の火事ではない。

 「欧州の多くの人々が『我々は置いてけぼりになっているのか』と自問している。私たちの価値観を失わずに、どうやってゲーム(開発競争)にとどまり続けられるのか」

 5月下旬、ドイツ南部ハイルブロンで開かれたテックイベント「TECH 2025」。開幕式で流された動画は、欧州の焦燥感が如実に表れていた。ドイツのフィッシャー元外相は「米国はもう信頼できるパートナーではない。欧州で協力する時だ」と強調した。

イベントで話をするドイツのフィッシャー元外相=ハイルブロン、五十嵐大介撮影

 AIなどのテクノロジー分野では米中が圧倒的に強く、欧州は米IT大手のサービスに頼る状況が続いてきた。しかし、トランプ政権の再来が状況を変えている。

 貿易などで対立を深め、警戒…

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