衆院拉致特別委員会で答弁する上川陽子外相=2024年4月8日午後1時43分、国会内、上田幸一撮影
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 上川陽子外相は16日午前の閣議で、2024年版「外交青書」を配布した。日本の安全保障環境は中国や北朝鮮の軍事動向により「戦後最も厳しく複雑な状況」に置かれており、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢なども踏まえて国際社会は「歴史の転換点」にあると指摘。根源的な価値として「人間の尊厳」を打ち出し、分断・対立から協調へ導く外交を展開する方針を示した。

 グローバルサウス(新興・途上国)の発言力の拡大や気候変動なども「歴史の転換点」の要素に挙げた。中国の軍事動向は引き続き「これまでにない最大の戦略的な挑戦」としつつ、昨年11月の日中首脳会談での再確認を踏まえ、両国の共通利益に関して協力する「戦略的互恵関係」との表現を5年ぶりに盛り込んだ。北朝鮮には「核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄」を求め、拉致問題は「ひとときもゆるがせにできない人道問題」として解決への決意を示した。日韓関係は改善傾向を受けて「緊密な意思疎通を重ねていく」と記した。ウクライナ侵攻や中東情勢は「日本を含む世界各地域の安定と平和に影響をもたらす問題」と位置づけた。(松山紫乃)

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