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宮城県のホームページで公開している村井知事の定例会見の動画。手話通訳をつけたものを公開している=県HPから引用
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 「手話は言語」という認識を広め、手話を使いやすい社会の実現をめざす――。こうした趣旨の「手話言語条例」の制定が、全国の自治体で広まっている。条例を制定することで、社会はどう変わるのか。

 緑色のスクリーンを背景に、手話を操る女性の姿が映し出された。宮城県がホームページで公開している村井嘉浩知事の会見動画を開くと、そんな手話通訳の動画が閲覧できる。手話通訳部分は、知事の顔にもかかるほどの大きさだ。

 県は2021年4月に手話言語条例を施行。これに合わせ、週1回の知事の定例会見後、手話通訳付きの動画の掲載を本格的に始めた。

 動画の配信は会見の2日後。会見全体ではなく、知事からの発表部分のみではあるものの、知事は「これまで以上に聴覚に障害がある方にも、広く県政情報を伝えられる」と目的を説明した。

 条例は「手話を言語として認識すること」を普及させるのが狙いだ。県民に手話や、音声言語を獲得する前に失聴した「ろう者」への理解を広め、ろう者が手話を使いやすく、暮らしやすい社会をつくることを目的としている。条例は県や県民、事業者がそれぞれの立場で取り組みを進めるよう求めている。

 同様の条例は、13年に鳥取県が全国で初めて制定したことを皮切りに、全国で制定が進んでいる。その背景には、手話を取り巻く国内外の動きがある。

 宮城県聴覚障害者協会による…

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