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能登半島地震の被災地で炊き出し支援をする高橋博之・雨風太陽社長=2024年1月9日、石川県珠洲市、東野真和撮影

 東日本大震災を機に生まれた「雨風太陽」(岩手県花巻市・高橋博之社長)が、県内設立の企業としては18年ぶりに株式を上場して1年が過ぎた。「都市と地方の分断解消」という社会性と経済性を追求する「二刀流」企業は、能登半島地震や石破茂首相の誕生で注目が集まった。2025年は独自の財務諸表を作り、体制を見直して黒字化を目指す。

 雨風太陽は、スマホアプリで生産者が食材を直売できる「ポケットマルシェ(ポケマル)」や、長期休暇に都市部の家族が生産地に滞在する「おやこ地方留学」などの事業を運営している。24年9月時点で前年9月と比較すると、ポケマルに登録した生産者は約7900人から約8400人に、消費者は約70万人から約79万人へと増加した。取引自治体は40から43に増え、おやこ留学の受け入れ先は115業者になった。

 その結果24年1~9月の業績は、売上高が前年同期より14%増の約6億7500万円。1億7100万円の営業赤字だったが、前年同期の赤字額よりは減った。株主は上場後、50人から1500人以上に増えた。

 同社は、たびたび全国メディアに登場した。24年1月の能登半島地震直後から炊き出しなどの支援を始め、11月にオープンした仮設飲食店街「NOTOMORI」をプロデュース、管理運営している。高橋社長が石川県の復旧・復興アドバイザリーボード会議の委員になり、2地域居住を提唱。国の政策に採り入れられた。

 その間、岡山市の事業承継を…

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