「数学のノーベル賞」とも言われるアーベル賞の今年の受賞者に、京都大学数理解析研究所の柏原(かしわら)正樹特任教授(78)が決まった。ノルウェー科学文学アカデミーが26日、発表した。「最高の数学の業績」を対象にするアーベル賞の日本人受賞は初めて。
D加群理論を確立、数学界をリード
柏原さんは、代数解析学で要となる「D加群(かぐん)」と呼ばれる理論を築き、世界の数学界を牽引(けんいん)。「数学の新たな扉を切り開いた。真の数学的先見者である」と評価された。
アーベル賞は、先駆的業績を上げた数学者に授与される賞として2002年に創設された。賞金は750万ノルウェークローネ(約1億700万円)。授賞式は5月20日、オスロで開かれる。
23歳、修士論文で基礎理論
柏原さんの研究人生を決定づけたのは東大生の時。数学の大家・佐藤幹夫さん(1928~2023)の講義を聴いたことだった。「場外ホームラン級のアイデアに驚いた。数学は自分で作り出すものだと知った」とのちに語っている。
佐藤さんの後を追って京大に…