「地球の歩き方」の東京多摩地域編と大阪編=4月6日、大阪市天王寺区のジュンク堂書店上本町店、坂上武司撮影

 老舗の海外旅行ガイドブック「地球の歩き方」(「地球の歩き方」発行、Gakken発売)が、国内版を次々と出版している。今年に入って、毎月のように新刊を出版。4月17日には信州編を出して国内版は24冊となった。海外専門だった「歩き方」がなぜ今、日本を「歩く」ようになったのか。

 地球の歩き方は1979年創刊。ヨーロッパ編とアメリカ・カナダ・メキシコ編の2冊からスタートし、2025年3月時点で160の国と地域のガイドを刊行。海外ガイドブックの草分け的存在だ。

 国内版に進出したのは、20年9月の東京編から。東京五輪、創刊40周年という節目を経て、地方から東京に遊びに来る人々に向けて、「海外版のセルフパロディー」としての企画だった。売れ行きは好調で、10万部のヒット作に。東京在住の読者から「まだ知らない東京がこんなにもあったとは」などの声が寄せられたという。この成功体験が、地球の歩き方編集部を日本に向かわせた。

「地球の歩き方」は1979年創刊。「ヨーロッパ」と「アメリカ・カナダ・メキシコ」の2冊からスタートした=地球の歩き方提供

 主な読者層は40~60歳代。かつて卒業旅行やひとり旅、家族旅行など地球の歩き方に親しんできた紙世代だ。そこにターゲットを絞り込んだ。

「思考停止では危機乗り越えられない」

 折しもコロナ禍を経て円安時…

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