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リリパットアーミーⅡ「内田家の人々」

 企画から資金集めまで徒手空拳で、韓国の劇団を招く。「民間主催」をうたう国際演劇祭が、晩秋の大阪市で開かれる。愛憎が絡み合う両国の橋渡しをプロデュースするのは、在阪の演劇人だ。

 ゲキゲキ主宰・演出家の古川剛充は昨年、韓国の演劇祭に参加した。「日本で上演したい」と望む演劇人に多く出会った。その演劇祭をプロデューサーが1人で運営していることに驚き、自身でも日韓の演劇祭を企てた。大阪市の助成事業に選ばれたことで協賛企業が増え、「ミックスジャム」と名付けた日韓演劇交流会の開催が整った。

 韓国の演劇界と10年以上の交流がある劇作家・演出家で在日3世の金哲義が声をかけ、光州の老舗劇団Y、ソウルの創作集団コムなど4劇団の参加が決まった。日本は大阪の3劇団が出る。

 劇作家・演出家のわかぎゑふは「在日が多いのに、いなかったことにする文化が続いてきた大阪で、やる意味は大きい」と考える。

 韓国の演劇界は、戦前から日本の演劇を学んできたという。今回参加するチャンジャクシムの脚本家チェ・ジウンが、鐘下辰男の「絶対零度」を韓国語で上演するなど現代演劇への関心も高い。一方、従軍慰安婦問題など日韓の対立が先鋭化した2010年代は、演劇やドラマなどで共同制作をしても、国内の反応を意識して韓国の俳優らが発言を控えたりした。

 今回に先立ち、韓国側の招きで、日本の2劇団が11月6、7日にソウルの演劇祭で上演した。

 ゲキゲキ「ご馳走様(ちそう…

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