国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)トップのフィリッポ・グランディ高等弁務官が19日夕、訪問先のレバノンから朝日新聞の電話取材に応じた。イスラエルとイランの交戦に懸念を示し、これ以上難民が増えないよう、「交渉に戻って」と訴えた。
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UNHCRによると、人口約9千万人のイランは、アフガニスタンなどからの難民約350万人が暮らす、世界最大の難民受け入れ国の一つ。グランディ氏は、すでにイランから国外に逃れる人や、国内避難民が出始めていると指摘した。攻撃が続くなか、UNHCRの職員もシェルターに入らざるをえず、正確な情報は把握できていないという。
「もし紛争が続いて地域の緊張が激化した場合、さらに避難民が増えてしまうことは確かだ」とグランディ氏。「早急に終結しない限り、すでに甚大な影響を受けている地域の状況がさらに悪化してしまうことになる」と訴えた。
20日は「世界難民の日」。紛争や人権侵害などが原因で強制的に住居を追われた人々は、昨年末現在で日本の人口とほぼ同じ1億2320万人。このうちベネズエラやアフガニスタン、ウクライナやスーダンなどから国外に逃れた難民が4270万人に上る。
グランディ氏はこうした状況…