聴覚障害がある北海道札幌聾(ろう)学校の小学生ら2人が、幼い時から使ってきた手話で授業を受けられなかったことの是非が争われた訴訟の控訴審判決で、札幌高裁(斎藤清文裁判長)は11日、一審判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。
2人が使っているのは「日本手話」。日本語の文法に合わせて単語ごとに手の動きを当てはめる「日本語対応手話」と異なり、独自の文法体系を持つ。2人は憲法で保障された「ひとしく教育を受ける権利」を侵害されたとして、道にそれぞれ550万円の損害賠償を求めて提訴。一審・札幌地裁判決は2人の請求を棄却していた。
高裁判決は、日本手話による授業を受ける権利は憲法上定められていないと判断。日本手話での意思疎通が必要と判断した時は、補助の教員を立ち会わせるなどしており、違法とはいえないとした。
一方、判決は、教員との意思疎通を欠くことになれば、成長発達期の児童の心身の負担も重くなり、聾学校には課題もあると付言。「障害を抱えた児童に適切な配慮を尽くし、学習意欲を持続させる努力を続けることを望む」とした。