追悼式が催された漁村センターの前で、報道陣の取材に応じる桜井憲二さん=2024年4月23日午前11時48分、北海道斜里町、古畑航希撮影
  • 写真・図版

 桜井憲二さん(60)は1時間以上前に、追悼式の会場に着いた。持参した花束をそっと祭壇に手向け、手を合わせた。

 北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没してから2年がたった。20人が犠牲となり、6人が今も見つかっていない。

 桜井さんは捜索ボランティア隊の隊長を務める。2022年5月から23年8月までに、知床半島先端付近で9回の捜索を行った。参加隊員はのべ61人。その代表として23日、北海道斜里町であった追悼式に参列した。

 追悼式の間、自分の目に映った光景が次々に脳裏に浮かんできたという。

 第一報のニュース映像、沖で漁をしている時に次から次へと飛んできた捜索のヘリ、シケの海を揺れながら進む海保の巡視艇。

 鮮明に思い出すのは、自分たちの捜索活動だ。

 「(知床岬付近を)歩いて探して、波打ち際に女性のご遺体を見つけた時のこと、カズワンの豊田徳幸船長を見つけた時のこと、そして、家族と会った時のこと。これはやっぱり」

 桜井さんは、そこまで話して…

共有
Exit mobile version