開会式の演出で、片足を切断したパフォーマー(手前)をあざ笑うようなしぐさを見せるダンサーたち。だが式典の終盤には、健常者と障害者に分かれていたダンサーたちが一つのグループになって踊った=2024年8月28日午後8時14分、コンコルド広場、伊藤進之介撮影

 障害を持つアスリートのプレーが注目される4年に一度のパラリンピックが、パリで開催中です。パラスポーツへの関心が高まる貴重な機会ですが、一般の障害者にネガティブな影響を及ぼしかねないという指摘もあります。

 パラリンピックの公式教材「アイムポッシブル」のアドバイザーで、日本車いすインストラクター協会の橋本大佑(だいすけ)代表に、「パラリンピックがもたらすパラドックス(矛盾)」について聞きました。

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 ――パラリンピックの「ネガティブな影響」とは、意外な響きです。

 日本には約1100万人の障害者がいます。その中で、パラリンピックに出場する日本選手団の175人は、ある種「スーパーマン」です。パラリンピックは「才能に恵まれた人たちの祭典」で、一般の障害者から距離ができている。格差が広がっています。

 パラアスリートたちはしばしば、メディアで「努力して障害を乗り越え、超人的な結果を残した」という描かれ方をされます。すると、一般の障害者に対する世間の偏見を助長してしまいかねないんです。

 「パラアスリートも努力している。あなたも、障害を言い訳にしないで努力しよう」などと言われてしまうことがある。

「何でサボってるの?」

 電動車いすを利用しながら建築士として働いている友人女性は1998年の冬、こんな経験をしたと語っていました。

 通勤中、いつも通り電動車い…

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