連載「HANABI」第9部 海外へ向かう大曲(5)
2024年4月、韓国の財閥ハンファの視察団が秋田県大仙市の「響屋大曲煙火(ひびきやおおまがりえんか)」を訪れた。
火薬製造で創業したハンファは、花火の打ち上げも手がけている。ドローンやレーザー光線を採り入れた演出は、世界の最先端ともいわれる。
ハンファの幹部は「われわれが求めているのは日本のすぐれた芸術花火だ」と言った。それが響屋だった。
打診は23年夏。社長の斎藤健太郎(45)は「まさか、あの巨大企業が」と耳を疑った。ハンファはソウルや釜山で開く国際大会の目玉を探していた。
ハンファは好条件を示した。1回の取引で花火を2千発。コンテナ船も手配する。契約は2年、その後の更新もあり――。
先行投資が生きる
危険物にあたる花火の輸送を…