作家の姜龍一(カンヨンイル)さん(36)は昨年暮れ、詩集を出した。自分のアイデンティティーをめぐる青年期の葛藤を33編におさめた。
東大阪市生まれの在日韓国人3世で、母親からは「龍一は韓国人なんだよ」と言われて育った。しかし、民族学校に通ったものの日常会話は日本語。周囲が口にする「祖国」や「同胞」という言葉に具体的なイメージは浮かばなかった。
ルーツの国に行けば何かが腑(ふ)に落ちるのではないかと、高校卒業後の2006年、韓国の大学に進んだ。ところが想像と違う形で「出自」を意識することになった。
覚えた韓国語であいさつする…