小湊鉄道で57年間にわたって活躍した車両「キハ203」が、宿泊施設として生まれ変わった。千葉県市川市の「HAMIRU」が運営する「高滝湖グランピングリゾート」(市原市養老)が手がけ、1日にオープンする。廃車両を使った宿泊施設は極めて珍しく、注目を集めそうだ。
7月26日、オープニングセレモニーがあり、市原市の小出譲治市長は「この施設で市の観光客の流れが変わった。鉄道ファンは多い。更なる誘客へ、小湊鉄道さんと一緒にやっていく」と期待を込めた。
高滝湖グランピングリゾートは、廃校になった旧高滝小学校をHAMIRUが市から借り、2021年に開業した。休日は予約困難なことも多い人気のリゾート施設だ。
小湊鉄道キハ203は、1963年運行開始。市原の里山を57年間駆けたが、引退後は車両基地の中で保管されていた。「東京ラスク」の創業者として知られ、親会社のGRホールディングスの大川吉美会長(69)が、小湊鉄道に「廃棄される車両はありませんか」と直談判し、譲り受けた。大川会長によると、車両を移設する際には、100人近い鉄道ファンが集まり、保存を喜んでいたという。
2023年5月から車両は展示されていたが、さらに特別な体験を提供しようと、宿泊施設への再生を決定。つり革や運転席は当時のまま残し、ベッドやキッチンシンクなどは最新設備を導入した。高速Wi―Fiまで備えた。HAMIRUの熊崎紗弥佳社長(37)は「鉄道ファンはもちろん、家族やカップルで特別な時間を過ごして欲しい」と話す。
泊まれるキハ203は、小湊…