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練習する滋賀県立石山高校=2025年6月9日、大津市、オザワ部長撮影
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My吹部seasons

 雄大に広がる琵琶湖の湖面に、「吹奏楽の関西支部に滋賀県あり、滋賀県に石山あり!」と訴えんばかりの楽器の音色が響いていた。

 県内で吹奏楽の実力校として知られる、県立石山高校(大津市)。紫式部が源氏物語を起筆したと言われている石山寺が近くにあり、県内の公立高校で唯一の音楽科がある。学校内には「演奏ホール」と名づけられたホールも備えられている。

 今年、石山高吹奏楽部で音楽面のリーダーである学生指揮を任されている3年の石原彩衣(あい)(アルトサックス担当)は、悔しげな表情を浮かべてこう語った。

 「関西の中で滋賀県の存在が本当に薄くて。でも、このままでは終わりたくないんです」

 県内の高校は全日本吹奏楽コンクールに一度も出場したことがなく、それが「存在感の薄さ」につながっているのだろう。関西大会で金賞になかなか手が届きづらいのも事実だ。彩衣が悔しがるのも無理はない。そして、県内高校の吹奏楽部員たちに共通する思いでもあるだろう。

 石山高は関西大会の出場が、県内トップの30回を誇る。1992年と97年には同大会金賞に輝いたこともある。しかし、最近では2022年を最後に県代表から遠ざかっている。現在の部員は誰も関西大会を経験したことがないのだ。悔しさはなおさら募っている。

【連載】My吹部Seasons

吹奏楽作家のオザワ部長が各地の吹奏楽部を訪ねます。

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