東京メトロ南北線東大前駅(東京都文京区)で7日夜、大学生の男性(20)が刃物で切りつけられた事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された無職戸田佳孝容疑者(43)が調べに対し、「狭いところならば逃げられないだろうということで電車での犯行を決意した」と話していることが、捜査関係者への取材で分かった。長野県の自宅から刃物を持ってきたといい、警視庁は刺傷事件を起こす意図を持って上京したとみて経緯を調べている。
同庁によると、戸田容疑者は7日、駅で男性の頭部を包丁のような刃物で切りつけ、殺害しようとした疑いがある。電車到着直後に男性を襲い、車内まで追ってさらに2回ほど切りつけたといい、「電車が到着したタイミングで事件を起こせば、電車が長く止まり、世間に与える影響が大きいと考えた」と話しているという。
事件当日の行動も明らかになった。長野県生坂村の自宅を出発し、午前6時半にJR明科駅(同県安曇野市)から電車に乗り、正午ごろに東京都八王子市のJR中央線高尾駅で下車。午後4時ごろに東京大近くの東京メトロ本郷三丁目駅に到着した。その後、同大敷地内に入り、散策したり食堂で食事したりしていたという。
戸田容疑者は事件の動機について「東大を目指す教育熱心な親たちに度が過ぎると、私のように罪を犯すことを世間に示したかった」と供述。東大前駅を犯行場所として選んだ理由について「名前に『東大』と付いており、世間の人たちが教育虐待を連想しやすいと思った」と説明しているという。