昨年の能登半島地震で被災した石川県輪島市別所谷町の住民たちが27日、市街地への集団移転を坂口茂市長に要望した。山間部の集落から市街地に集団で移転する要望が住民側から出されるのは、能登の被災地で初めて。
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市によると、別所谷町には震災前、43世帯79人が暮らしていた。現在は住む人はいない。昨年元日の地震と9月の豪雨で大きな被害を受け、いまも土砂災害の危険があり、水道も復旧していない。集落の住民のうち24世帯40人ほどが輪島市街地の仮設住宅団地に入居し、それ以外の住民は市外の親戚宅などに避難している。
住民たちは要望書で「過疎と高齢化が進んで将来的に自助、共助が困難となり、災害時に再び孤立すれば深刻な事態が生じるおそれがある」と指摘。丹保真一区長(67)は市長に対し、「現地における再建のメドが立たない状態。現在のコミュニティーを維持しながら将来の安全を確保するため、災害リスクの少ない市街地での移転再建を」と支援を求めた。
坂口市長は「皆さんの意向に応えられるよう、全力で取り組んでいきたい」と応じ、「国の制度も活用しながら、どういった方法がいいのかお話ししながら、実現していきたい」と説明。今月成立した市の補正予算に、国の「防災集団移転促進事業」を市内で行うための調査費用を計上したことも説明した。
「防災集団移転」は、国の補助金などを利用し、災害が発生したり発生のおそれがあったりして住むのに適当でない場所から、地域が一体となって移転するもの。市は補正予算に調査費2200万円を計上した。別所谷町への適用も検討するという。
住民側は具体的な移転先の候補地や人数は示しておらず、市と今後、移転先や方法について話し合いを重ねていくという。
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