久野友子医師が亡くなったあと、患者や家族がたくさんのメッセージが寄せられた=小林一茂撮影=大阪市内、小林一茂撮影

 難病の子らが憩いの時間を過ごす「TSURUMIこどもホスピス」(大阪市鶴見区)。梅雨明け後の6月下旬、庭先に設けられた日よけ幕の下へプールが設置され、子どもや職員のにぎやかな声が響いていた。その少し先の広場に、アート作品「Infinite Garden(無限のお庭)」がある。

 高さ3.5メートル、計16面の合わせ鏡の構造で、のぞき込むとどこまでも世界が広がる。金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」で知られる、レアンドロ・エルリッヒ氏が設計した。大阪・関西万博にも同じ作品が展示されている。作品名の看板には、こう記されている。

 「地域の小児科医・久野友子氏のご遺族よりご寄付いただき実現しました」

 久野医師は生野区生まれ。面倒見がよく、子ども好きもあって大阪医科大(現・大阪医科薬科大学)に進学して小児科医になった。血液腫瘍(しゅよう)が専門で小児がんの子どもの診療にあたり、総合病院では小児科部長も務めた。帰宅は深夜0時近く。24時間以上の勤務もざらだった。

母に背中押され、地域の小児科医へ

 「いつか体を壊す。開業を考…

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