スマホに保存された母と中学時代の吉井天星選手の写真=2025年7月25日、札幌市豊平区、朽木誠一郎撮影

(11日、第107回全国高校野球選手権1回戦 南北海道・北海―東海大熊本星翔)

 北海の遊撃手・吉井天星選手(3年)は、ユニホームのポケットにお守りを忍ばせている。

 お守りの中には、手紙も入っている。

 〈自分に自信を持って がんばってね〉

 手紙の文字は汗や雨でにじんでしまった。

 お守りと手紙は今年2月、母の園子さんからもらった。

 吉井選手は千葉出身。小学生で野球を始めた。夢は甲子園。全国選手権大会に全国最多の41回出場している北海は、どこよりも夢に近いと考え、高校入学と同時に親元を離れた。

 北海道は寒さや雪の降り方が「別の国かと思った」。寮生活となり、遠く離れて暮らすことで親のありがたみを感じた。「甲子園に出場し、恩返ししたい」という気持ちが日増しに強まった。1年秋から背番号をもらい、翌年春の選抜大会にも出場。2年秋から遊撃手のレギュラーをつかんだ。

 そんな矢先のことだった。昨…

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