ひと夏にかけた思いがあふれ出る甲子園球場の取材ルーム。部員たちの言葉からは、一人ひとりが高校野球に打ち込んだ日々が浮かびあがる。この夏、勝ち続けたチームはたった一つだけ。だからこそ、記憶に残る敗者の言葉に光を当てたい。

聖隷クリストファー―西日本短大付 応援団にあいさつする聖隷クリストファーの選手たち=筋野健太撮影

2回戦 健大高崎(群馬)3―6京都国際

 【健大高崎・佐伯幸大選手】

 3点を追う九回2死で代打出場。四球を選び、「よっしゃ」とベンチを鼓舞して、代走に代わる。「まだ、行くぞという意味で叫んだ。大声は自分の持ち味だし、声にスランプはないので。流れを変えたい一心だった。スタメンで優勝する夢をかなえられなかった。進学して野球を続けて、親に恩返しをしたい」

2回戦 花巻東(岩手)4―8東洋大姫路(兵庫)

 【花巻東・千葉脩平投手】

 九回に代打出場で二塁打を放ち、代走に交代。「勝負強くなれた。自信になる。気がついたら五回で、すぐに九回になっていた。充実した時間でもあり、自分たちのミスで相手に試合の流れを与えていたことで焦りもあり、その両方で、甲子園はあっという間に過ぎていった」

 【花巻東・古城大翔選手】

 2年生ながら4番を務める。2安打したが、敗れた。「夏の大会のメンバーに入れなかった先輩たちが、自分たちと同じ熱量で練習を手伝ってくれた。3年生が練習に付き合ってくれたから僕はここまで来られた。家族のような存在だった」

3回戦 高川学園(山口)4―9日大三(西東京)

 【高川学園・前田悠槙選手】

 背番号「8」だが、打撃不調でベンチで過ごす時間が長かった。九回は一塁コーチ席で逆転を信じて見守ったが、かなわなかった。「三塁側の三高のアルプス席よく見えて。相手の応援はすごかったです。でも背中に受けた、うちのスタンドの応援も負けてなかったです。すごくよく聞こえました」

横浜―県岐阜商 試合後、あいさつを終えて健闘をたたえ合う県岐阜商と横浜の選手たち=2025年8月19日午後4時11分、阪神甲子園球場、田辺拓也撮影

2回戦 佐賀北1―6明豊(大分)

 【佐賀北・秋好和哉選手】

 七回1死一、二塁で「代打の切り札」として大歓声を浴びる。右飛に倒れたが、「しっかり振れた。それが一番。悔いはない」。小学6年のとき、右ひじに痛みが出て両投げに挑戦。伝令でマウンドに向かう際の全力疾走でも仲間を勇気づけた。「このメンバーだからこそ甲子園に来られた。一緒にプレー出来て幸せでした」

3回戦 仙台育英(宮城)3―5沖縄尚学

 【仙台育英・今野琉成選手】

 延長十一回、失策が相手の決…

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