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盛岡商工会議所の谷村邦久会頭=2017年

 「男性が若い人を好むっていうのは当たり前」。盛岡商工会議所の谷村邦久会頭が記者会見で、芸妓(げいぎ)の見習い募集をめぐってそう発言し、波紋を呼んでいる。発言を撤回する意思はないという。

 発言があったのは、8日に行った「もりおか舞妓(まいこ)」の募集記者会見。「18歳以上25歳未満の女性」を募集条件とした理由について問われ、「盛岡芸妓後援会」会長を務める谷村氏は「芸者さんを呼ぶのは男性ですよ。若い人を好むっていうのは当たり前でしょ」と発言した。

 お座敷で踊りや三味線を披露して客をもてなす盛岡芸妓は100年以上の歴史があるとされるが、現役の芸妓は4人のみ。盛岡商議所が中心となり2012年に後援会を設立し、見習いの育成を続けているが、新たな芸妓は定着していない。

 25歳未満の年齢制限が付いたことはかつてもあったが、ここ2年の年齢に関する条件は「18歳以上」のみだった。今回25歳未満の条件を加えたことについて、後援会の担当者は「芸をきわめるためには長い時間がかかるので、若い世代を対象にした」と語った。

 後援会によると、谷村氏に発言を撤回する考えはないという。同氏はみちのくコカ・コーラボトリング会長も務めている。

 谷村氏が自身の後援会顧問を務める達増拓也・岩手県知事は、11日の会見で「人材育成として若い世代を対象にしようということだと思うので、年齢差別でも何でもない」と募集条件に理解を示した上で、「(会見で何度も質問を受け)食い下がられる中でいろいろと若いメリットを考えて、後から考えればしゃべらなかったであろうことまでしゃべっちゃったと釈明されているようだ」と述べた。

 岩手大の海妻径子副学長(ジェンダー論)は、「やる気があるならば、30、40歳であっても芸を継承できるのでは。年齢制限に対する疑問への答えが、『男性は若い人を好むのが当たり前』ならば、なぜ盛岡芸妓の芸を残したいのか、その見識を問われてもしかたがない」と指摘する。

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