ハローワーク飯田橋の前には午前8時半の開庁前から企業の採用担当者が行列をつくっていた=東京都文京区

 来年3月に卒業予定の高校の採用活動が7月1日、本格的にスタートした。人手不足で高卒の求人倍率も高くなっているが、際立つのが工業高校だ。直近(2023年度)は工業高校卒1人に対して27.20倍。20年あまりで10倍近くに上がった。現場に即した技能を持った人材で、離職率の低さも企業には魅力のようだ。

 1日午前7時半過ぎ、ハローワーク飯田橋(東京都文京区)の前には約30人が行列をつくっていた。ハローワークのチェックを受けた求人票が、この日から受け取れる。少しでも早く高校に出そうと、朝から担当者が並ぶ。窓口が開く午前8時半には約80人にふくれあがった。

学校訪問、例年以上の数

 「今年は異例だ」。東京都立蔵前工科高校(台東区、旧蔵前工業高)で進路指導担当の池辺左千夫教諭は驚く。人事担当者の学校訪問は4月は約50社、5月は約140社、6月は約180社と例年以上の数に。学校も3年生への「模擬面接」などで準備に余念がない。

 製造業や建設業を中心に工業高校卒への求人意欲は高まる一方。全国工業高等学校長協会(全工協)の調べでは、求人倍率は03年度に3.30倍だったが17年度に11.08倍と10倍を超え、23年度が27倍超に。高卒全体(厚生労働省調べ)も03年度の1.26倍から24年度には4.10倍に増えているが、工業高校卒のそれは桁違いだ。

 全工協付属工業教育研究所の…

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