有田・下津地域で受け継がれてきた「石積み階段園」など伝統的なミカンの栽培システムが27日、世界農業遺産に認定された。国内では17例目。栽培システムの維持や保全のほか、販路拡大や観光誘客などが期待できそうだ。
県や周辺5市町、農協などでつくる推進協議会が2023年10月、世界農業遺産の認定に向けて国連食糧農業機関(FAO)に申請。県によると、今年7月にFAO関係者の現地調査があったという。
今回認定された栽培システムは400年以上前からのもの。農家が石積み階段園を築き、多様な品種を導入し、傾斜地に適した温州ミカンを栽培してきた。貯蔵技術を工夫することで、長期間にわたって出荷しているのが特徴だ。
認定を受け、宮崎泉・和歌山県知事が27日に会見。「大変うれしく、世界に誇れるものがまた一つ増えた。販路拡大が一番の効果として期待される。観光客をどう受け入れていくかをしっかりと考えていかないといけない」と語った。
県内では15年度に「みなべ・田辺の梅システム」が世界農業遺産に認定されており、今回は2例目。世界での認定は計102件となった。
18年度には「下津蔵出しみかんシステム」、20年度には「みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム」が、それぞれ日本農業遺産に認定されている。