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わらべ館のからくり時計=2025年2月26日午前11時0分、鳥取市、清野貴幸撮影
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 この夏、オープンから30年を迎える鳥取市の童謡とおもちゃの博物館「わらべ館」。音楽とともに人形が動く大型のからくり時計が館のシンボルとして親しまれているが、誰が時計の全体構想を考えたのかは長年の謎だった。その謎が昨春、偶然にも解明された。

 「こんにちは」。わらべ館イベント係係長高橋智美さん(41)は昨年4月、同僚から連絡を受けて足を運んだ館の中庭で、からくり時計を見上げている男性に話しかけた。男性は「このからくり時計、私が作りました」。衝撃の「告白」だった。

 からくり時計は、1995年7月にオープンしたわらべ館の目玉として設けられた。入館料が不要な中庭にあり、直径約2.3メートルの時計盤から1時間に1回、楽器を持った「大こくさま」「一寸法師」「花咲爺」や動物などの人形が登場し、鳥取県出身の岡野貞一や田村虎蔵が作曲した「故郷(ふるさと)」「金太郎」などの童謡や唱歌に合わせて動く。週末には親子連れが時間に合わせて中庭に集まるなど、間もなく総入館者数が350万人に達する見通しの館を特徴づける存在だ。

 長年不明だった時計の制作経緯が気になっていた高橋さんは2022年、館内の地下書庫で時計の「企画書」を発見する。それを手掛かりに人形の制作者と、童謡や唱歌とともに流れるオリジナル曲の作曲と全体の編曲を担当した人を探し出した。その経緯を、館が編集し年1回発行されている童謡・唱歌研究情報誌「音夢(おとむ)」(第17号)で発表したが、企画書を書いた人は分からずじまいで、誰が構想したのかは最大の謎だった。

 その疑問を解き明かす告白を…

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