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夫と写真に納まる岸敦子さん(右)=岸さんの家族提供撮影
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それぞれの最終楽章 人生の花道(6)

在宅医 千場純さん

 最後に紹介する岸敦子さん(83)は、現在も在宅療養中です。診療所にほど近いマンションの一室に89歳のご主人とお二人で住まわれており、2017年からは訪問診療となっています。

 そもそもは50歳ころに発症した関節リウマチで、約30年前、私が当時勤務していた国立横須賀病院(現・横須賀市立うわまち病院)のリウマチ外来に紹介されて来られました。その後、私がパシフィック・ホスピタル、みなみ湘南医院、そして三輪医院(現・まちの診療所つるがおか)へと転属するなかで、転居までされながら長きにわたってかかりつけて頂いています。

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 幸い関節リウマチの方は当時最新の治療の効果で病状は改善しました。しかし、年齢を重ねるにつれて右ひざ関節痛や腰の痛みと脚力の衰えが目立ち始め、3年前には大腸がんを併発し、その術後の経過不良もあって長期入院を強いられ、退院後もしばらくは大変つらい日々を送られていました。その際には認知機能の低下も目立ち始め、幻覚的な会話や無気力が目立つようになり、夫への拒否や反発も強くなりました。

 それでも、そんな妻を何とか…

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