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Re:Ron(リロン)編集部から

 最近、週末に独立系書店と呼ばれる小さな本屋に出かけることが多い。いわゆる本のセレクトショップで、ベストセラーとは異なる本と出会えるのが楽しい。ハンドブックシリーズ「neoコーキョー」も、その一つだ。

 A5判で90ページほど。「勝手にカウント調査をはじめよう」と掲げた号の裏表紙には、小さな文字で「路上に座ってひとの数を数えつづけたらどうなったか?」とあり、興味をそそられた。本では手書きの日誌を交えて具体的な顚末(てんまつ)を紹介しているが、「何のためにこんなことをしたのか?」を深く知りたくなり、発行人の辻本達也さんにRe:Ronに寄稿してもらった。

 1989(平成元)年生まれの辻本さんが幼い頃から注目し続けているのは「先入観をくつがえされる瞬間」だという。その入り口を発想し、調査することを「考近学」と名付け、このシリーズでフィールドワークに取り組んでいる。先入観は、自分が当たり前のものとして過ごしている「近く」のもののなかにある、と辻本さんは言う。

 対面でもネット上でも、議論がかみ合わないと感じる時は、お互い無意識のうちに身につけた先入観に基づいて言葉をやりとりし、平行線をたどっていることが多いように思う。

 ちょっと立ち止まり、自身が先入観にとらわれていないかに目を向けてみてはどうだろう。辻本さんの実践を追体験してみると、日常生活の中に、先入観は色々と潜んでいると気づかされる。そして何よりも、先入観がくつがえされる体験は、楽しそうだと感じられてくる。

  • 【辻本達也さんの記事はこちらから】僕は考近学フィールドワーカー

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