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 新しく発電所をつくるための支援制度が始まった。電気料金から集めたお金を電力会社などに渡して、二酸化炭素(CO2)を出さない「脱炭素電源」を増やすねらいだ。だが、一定の条件を満たした火力発電所や、原発の建設にも充てることができる。経済産業省は制度の対象を既存の原発にも広げようとしており、事実上の原発支援策だとの批判もある。

 この制度は「長期脱炭素電源オークション」という。全国の電力需給を調整する国の電力広域的運営推進機関が「将来の電気の供給力」を入札にかけ、落札者は発電所の建設費や人件費などの固定費が原則20年間得られるしくみ。電力会社にとっては投資に踏み切りやすくなる。一方、発電所の収益の9割は同機関に返さなければならない。

 4月末のオークションでは、東京電力グループと中部電力が出資する発電会社JERA(ジェラ)が、碧南火力発電所の4、5号機(愛知県、約19万キロワット)を落札した。いずれも20年以上前につくられた石炭火力だが、燃やしてもCO2が出ないアンモニアを混焼できるようにするための改修費に充てる。

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 4号機早ければ27年度、5号機は29年度に稼働し、改修前と比べてCO2を年間計約200万トン削減する見込みという。同社の高橋賢司・脱炭素推進室長は「オークションで落札しなければ、技術開発段階で終わっていた可能性もある。経済性が見通せたことは、投資判断の大きな要素になった」と話す。

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 制度ができた背景には、20…

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