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北海の桜井悠也選手=2025年7月20日午後2時4分、エスコンフィールド北海道、中沢滋人撮影

(20日、第107回全国高校野球選手権南北海道大会決勝 北海7―0札幌日大)

 「大阪から来た天才バッター、それが桜井」

 スタンドに響く定番の応援歌が、北海の3番打者・桜井悠也選手(3年)の耳に入った。三回裏2死一塁。桜井選手の低く強い打球は三遊間を抜け、好機を広げた。

 桜井選手は「自分は天才なんかじゃない」と苦笑いする。今大会は打率5割で、平川敦監督からは「打線のキーポイント」と信頼されるが、めざすのは天才に見えるようなきれいな打撃ではない。時にはヘッドスライディング。時には四球。泥臭くつなぐ野球だ。

 出塁するための練習を積んできた。捕球されにくい低く強い打球を心掛け、打撃練習では低いネットを置き、打球がネットを越えないように打ち込んだ。一塁までの到達時間を少しでも短くしようと、冬季はウェートトレーニングと走り込みを増やした。

 2年生主体のチームで、練習の傍らにはいつも後輩たちがいた。桜井選手は最後の夏にかける思いを見せたいと、後輩たちを引っ張ってきた。桜井選手を「憧れでありライバル」と言う4番打者の長南凜汰郎捕手(2年)はこの日、先制となる2点適時打。さらに佐竹徠都選手(2年)は試合を決定づける満塁本塁打を放った。

 大阪府出身の桜井選手は、幼少期から甲子園に何度も足を運び、高校野球を見て育った。「甲子園に立ちたい」という思いが募った。夏の甲子園に全国最多出場する北海こそ、甲子園に出場できる可能性が最も高いと考え、進学を決めた。

 その甲子園に立つ。「自分たちらしい野球がしたい」と桜井選手。泥臭くつなぐ野球こそ北海野球。後輩たちとともに全国に見せる。

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