小林克也さん 英語と歩いた83年(下)
洋楽への扉を多くの人たちに開いた人気番組「ベストヒットUSA」。実は、小林克也さん(83)は当初は番組出演に乗り気ではなかったといいます。アーティストたちの思いを聞き出す英語力にも不安を感じて、ユニークなトレーニングに取り組みます。長年英語とつきあってきた小林さんに、その実力を培ったものについて尋ねると、意外な答えが返ってきました。
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――1981年からテレビの洋楽番組「ベストヒットUSA」が始まりました。海外アーティストへの小林さんの英語でのインタビューが、番組の目玉のひとつになりました。
ラジオと比べるとテレビは収録で待たされる時間が長いし、曲の魅力をしっかり伝えられるのか、テレビを信頼できないという思いもあったので、番組を持つことに当初は乗り気ではなかったんです。でも、出演したアーティストのレコードの売れ行きが、放送翌日には3~4倍になると伝えられ、手応えを感じるようになりました。
しっかりと聞いてあげられる力があるのか
英語でインタビューするのはやっぱり不安でした。ゲストは仕事で来ていて、例えばニューアルバムが出て、これは絶対に言いたいというようなことがあります。でもその他に、どうして曲を作るようになったのかだとか、曲を作るときの苦しさや喜びなども伝えたいはずなんです。それをしっかりと聞いてあげられる英語力があるのかという不安でしたね。
小林克也さんがインタビューした海外のミュージシャンたち
ポール・マッカートニー▽マドンナ▽シンディ・ローパー▽ジェームス・ブラウン▽リチャード・カーペンター(カーペンターズ)▽グレン・フライ(イーグルス)▽ボノ(U2)▽ライオネル・リッチー▽シーナ・イーストン▽ビーチボーイズ▽ダリル・ホール▽オジー・オズボーン▽フィル・コリンズ▽TOTO▽カルチャー・クラブ▽ジミー・ペイジ▽ノラ・ジョーンズ▽エアロスミス▽ジーン・シモンズ(KISS)▽ジョン・メイヤー▽クリストファー・クロス………(順不同、ミュージシャンのごく一部です)
――自分の英語力をさらに伸ばさなければならないと思ったのですね。
「聞けない言葉はしゃべれない。しゃべれない言葉は聞けない」というのが原則で、人間は語学に関しては、必ず声を出さないと、聞くこともできるようになりません。声を出す練習は、聞く練習にもなると思っています。
【連載初回はこちらから】小林克也さん英語力の原点
「英語には必ず自分らしさが出てくる」と小林克也さんは話します。英語と歩いた83年の道のりを振り返り、小林さんから出た言葉の意味とは……
そこで当時、英会話学校の「…