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記者会見で記者の質問に答える日本被団協の田中熙巳代表委員(右から2人目)=2024年10月12日午後4時36分、東京都千代田区、長島一浩撮影
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ノーベル平和賞の受賞が決まった日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は12日、東京都内で記者会見を開いた。受賞決定から一夜明けて改めて喜びをかみしめる一方、核兵器禁止条約(核禁条約)に背を向ける日本政府への批判や、被爆者運動の先行きへの不安も口にした。

 会見には日本被団協の役員7人がオンラインもつないで参加した。

 代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(92)は、この日朝にノーベル委員会の授賞理由をじっくり読んだといい、「被爆者の訴えを世界中の人に共有の認識にしていかないといけない、と委員長が判断したんだと思った」と話した。

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 同じく代表委員を務める田中重光さん(83)も「昨日は最高の日だった。先輩たちを受け継いできた私たちは正しい道を歩んだと思う」と喜びを語った。

 一方、被団協結成から68年たってもなお、核軍縮は「期待した通りには発展していない」と田中熙巳さんは指摘。核兵器の保有などを全面的に禁じる核禁条約を日本政府が批准していないことを挙げ、「ノーベル平和賞は(批准に向けた)素晴らしい呼びかけになる」と強調した。

 石破茂首相が、米国との「核共有」を検討する必要性に言及してきたことには批判が集中した。田中熙巳さんは「核共有は論外だ」と指弾。石破首相と面会して「徹底的に議論して間違っていると説得したい」との考えを示した。事務局次長の和田征子さん(80)も「戦争被爆国が加害国になるかもしれない。許してはならない」と訴えた。

 今後の運動の先行きも話題に上った。被団協の地方組織は11県が休止・解散に追い込まれ、現在も活動しているのは36都道府県となっている。事務局次長の浜住治郎さん(78)は「先細りは事実。役員のなり手がおらず、財政的にも厳しくなっている」と打ち明けた。「『日本被団協の旗を降ろさないで欲しい』という声もある。工夫をして継続していきたい」と語った。

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