高畑勲監督2015年インタビュー【後編】
「泣ける作品」にするつもりはなかった――。戦後80年の今夏、ネットフリックスでの日本配信が決まった「火垂るの墓」。高畑勲監督が生前に語っていた、作品に込めた思いとは。戦後70年だった10年前のインタビューを再構成した後編は、戦争孤児となった幼い兄妹につらくあたる、「西宮のおばさん」で描き出した人間の性(さが)について。
- 【前編】悲惨だけの泣ける映画は「無力」 貫いた戦争のリアリティー
「西宮のおばさん」で描きたかったもの
――火垂るの墓は人間関係の描写も印象的です。兄妹(清太と節子)が身を寄せた兵庫県西宮市の親戚の家では、おばさんが兄妹にだんだんといらだつようになり、「疫病神」と呼ぶまでになりました。
僕が大事だと思ってつくったことがあるんです。
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誰もが、あの西宮のおばさん…