モルドバのサンドゥ大統領や与党幹部らについて、「国民から金を盗んだ」と批判する投稿。政権はこうした投稿が「偽情報だ」として警戒を強めている=フェイスブックから

 旧ソ連圏の親欧米国モルドバでは、28日の議会選を前にロシアの激しい情報工作が続く。モルドバのシンクタンク「ウォッチ・ドッグ」のバレリウ・パシャ会長に実態を聞いた。

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 ――モルドバの親ロシア強硬派の野党連合「勝利」は、議会選への参加を拒否された後も、親欧米のサンドゥ政権への抗議活動を呼びかけています。

 違法な支出などが拒否の理由なのに、「選挙から排除された」と主張し、「モルドバに民主主義はない」と訴えるためです。ロシアこそ民主主義がないのですが、人々が「(欧米や日本など世界の)どこにも民主主義はない」と認識すれば、これはロシアにはプラスになります。政権はロシアへの対抗策として一部政党の選挙参加を拒否し、10以上のロシア語メディアを閉鎖しましたが、多くの国民がこれに強い不満を抱いていることも、ロシアのプロパガンダが機能する背景にあります。

 ――情報工作の規模はどれほどでしょうか。

 我々の計算では、ロシアは昨年、1億5千万ユーロ(約260億円)をモルドバで費やしました。我々の国防予算の2倍となる規模で、国内総生産(GDP)比では1%を超えます。親欧米派も含め、活発に活動している政党の約85%がロシアから資金を受け取っているとみています。例えば、親ロシア派と親欧米派が同じことを言えば、市民は「疑いのない事実」と考えるからです。すでに多くの親欧米の政治家が「サンドゥ大統領は外国に資産がある」と根拠もなく主張しています。

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