来館者に説明する竹内利夫・上席学芸員=2025年5月11日午前10時36分、徳島県立近代美術館、相江智也撮影

 フランス人画家ジャン・メッツァンジェ作とされ、その後、「贋作(がんさく)」と判明した油彩画「自転車乗り」が11日、所蔵する徳島県立近代美術館で無料公開された。同館が購入し、贋作と判断した経緯の説明を含む「報告展示」となった。

 作品は、同館が1999年に大阪府内の画商から6720万円で購入したが、「伝説の贋作師」と呼ばれるドイツ出身の画家、ヴォルフガング・ベルトラッキ氏による贋作の疑いが浮上し、展示を中止。その後の調査を踏まえ、贋作と断定した。

 この日、同館1階ギャラリー前のガラスケースに作品とこれまでの経緯などを説明するパネルが並び、贋作と断定されてから初めてとなる展示が始まった。

 「信頼して見てくださっていたお客様、申し訳ございません」。午前10時半からの説明会では、約80人を前に同館の竹内利夫・上席学芸員がこう切り出した。「『本物はどこにあるの』と質問を受けますが、本物は(元々存在し)ないんです。(画家の)作風をまねて描いたものなので」。そう説明すると、館内にざわめきが起こった。

悔しさにじむ専門家

 竹内さんは、同館がピカソら…

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