(22日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会決勝 旭川志峯4―3白樺学園)
「どうしたらそんなに速い球を投げられるの?」
今年の年明け、白樺学園の冨沢悠斗選手(3年)は、健大高崎(群馬)のエース石垣元気投手(3年)に聞いてみた。帰省した機会に室蘭市で会った時のこと。本当は悔しいから聞きたくなかった。けど、思い切った。
石垣投手とは中学時代の洞爺湖シニアでチームメート。冨沢選手は石垣投手に次ぐ2番手投手だった。石垣投手から「常に力んでいるのではなく、球をリリースする瞬間だけに集中する」とアドバイス。あとで意識してやってみると、球速が2~3キロ速くなった。
石垣投手はその3カ月後、選抜大会で活躍。負けたくないと思った。「甲子園で石垣がいる健大高崎を破りたい」
夏の甲子園出場校として臨んだ昨秋は、帯広大谷に1―2で敗れ十勝地区を勝ち抜けなかった。直後のミーティングで、冨沢選手は投手転向を訴えた。白樺学園では打撃が評価されて野手に専念していたが、自分が投げて甲子園に行きたいと思った。
翌日から投球練習を始めた。冬場は走り込みで体力を強化。主に救援投手を務めた。打撃でも4番として貢献した。
この日は逆転を許した後に救援登板。五回に打球が当たった右腕が痛み、六回途中で降板した。
自分が取られた点を返したいと、八回の好機で左前安打を放ったが、チームは敗退した。
石垣投手と甲子園での対戦は果たせなかった。悔しいと涙をこぼしつつ、「石垣には自分や中学時代の仲間の分もがんばってほしい」とエールを送った。