静岡県長泉町を拠点に、合同会社「うさぎ企画」を率いる森田創さん（51）。大手鉄道会社で培ったまちづくりの経験をもとに、バスや鉄道、タクシーといった移動手段を軸にした地域活性化に取り組む。
1999年に東急に入り、本業の鉄道事業ではなく、新規事業の最前線を歩んだ。社内ベンチャーでロケ地を手配する事業を立ち上げたり、複合商業施設「渋谷ヒカリエ」内に新設したミュージカル劇場の開業責任者を務めたり。
静岡との縁は、2019年に伊豆半島で行った観光型MaaS（マース）事業の実証実験だった。MaaSとは、バスや電車、タクシーをITでつなぎ、ワンストップで乗り継ぎできる交通サービスのこと。スマホのアプリを介した取り組みは当時、画期的で注目された。「ゼロからイチを生み出し、新たな地平線を切り開くことに快感があった」
しかし、コロナ禍がキャリアを大きく揺さぶった。移動制限は鉄道会社にとって致命的で、不要不急の新規事業は軒並み見直しがかかった。心血を注いだMaaS事業も凍結された。
思い切って長泉町に移住する…
