控訴審判決を受け、「全面勝訴」と書かれた紙を掲げる大川原化工機の大川原正明社長(中央)ら=2025年5月28日午後2時35分、東京都千代田区、友永翔大撮影

 「大川原化工機」(横浜市)への違法捜査を東京高裁判決で認定された東京都(警視庁)と国(東京地検)が、最高裁への上告を断念する方向で検討を始めた。上告理由が見いだせないなどと判断したとみられる。複数の関係者への取材でわかった。

 上告の期限は11日。上告をしなければ、計約1億6600万円の賠償を都と国に命じた判決が確定する。

 大川原化工機の社長ら3人は2020年、軍事転用可能な噴霧乾燥機を許可なく輸出したとして、外国為替及び外国貿易法違反の疑いで逮捕・起訴された。だが、地検は初公判直前の21年、許可が不要だった可能性があるとして起訴を取り消した。

 高裁は5月28日の判決で、地裁に続き、一連の捜査の違法性を全面的に認めた。公安部や東京地検が社長らの説明を踏まえて追加実験をしていれば、不正輸出ではなかったと判断できたと認定。さらに、「不正輸出」の判断基準として公安部がつくった独自解釈の妥当性も否定し、逮捕や起訴に「合理的な根拠を欠いていた」と結論づけていた。

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