日本酒ファンの間で「酒造りの神様」と呼ばれる92歳の杜氏(とうじ)とともに、金沢大の学生らがオリジナルの日本酒を開発した。石川県小松市産の有機酒米「五百万石」を使った純米吟醸。世界への発信もめざして「志」と銘打ち、学内の生協で販売している。
- 自慢の吟醸酒に「香料入れているのか?」 世界が日本酒を認めるまで
学生たちに力を貸したのは、「神様」こと農口尚彦さんが杜氏を務める酒造会社「農口尚彦研究所」(小松市)。プロジェクトは地域と関わる課外プログラムの一環で、学生14人が中心となって2024年6月に本格的に始まった。
学生らは、どんな日本酒を目指すのか議論したり、ラベルを考えたりした。農口さんから技の伝承への思いも聞いた。今年5月には、今後の酒造りに向けて有機酒米の田植えにも参加したという。
今回のオリジナル純米吟醸は、農口さんが得意とする「山廃仕込み」の製法で醸した。フルーティーな香りや酸味、奥行きのある味わいが楽しめる。有機米を使った山廃仕込みは同社でも初の取り組みという。
金沢市内で10日に開かれたお披露目会で、理工学域機械工学類4年の番野碩文さん(22)は「農口さんから人として、皆とどうお酒造りをしていくかなどいろんな話をうかがえた。消費者に応え続けており、超一流の人はこうなのかと思った」と話す。能登杜氏四天王の一人に数えられる農口さんは「今後も若い人と一緒に世界にはばたく日本酒をつくり上げていきたい」と語った。
志は720ミリリットル5500円(税込み)、300ミリリットル2750円(同)。購入の際は、金大角間キャンパス内の同生協・大学会館購買に電話(076・262・0191)かメール(gaihan@kindai-coop.or.jp