青いタオルを振って応援するドジャースのファンら=小林一茂撮影

 大リーグは日本のプロ野球とは違う。球場の応援席が、球団ごとに設けられていない。

 5日(日本時間6日)、ロサンゼルスで行われた地区シリーズの第1戦。ドジャースが本拠に迎えた相手は、同じカリフォルニア州のサンディエゴに本拠を置くパドレスだ。

 車で2時間程度の距離ということもあり、大勢のドジャースファンの中に、パドレスのユニホームを着た観客の姿もまばらながらにある。

 ライバルチームのファン同士が火花を散らしているかと思いきや、記者が座っていたレフト側最上階の席付近では友好的な雰囲気が流れていた。

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 一回。ドジャースの山本由伸の制球がおぼつかない。すると、「Wake up Yamamoto!(目を覚ませ山本)」などと声が飛ぶ。それを聞いたパドレスファンが、にやにやしている。

 パドレスが内野ゴロの間に先制すると、続く4番マチャドが2ランを放った。ここぞとばかりに大声で盛り上がるパドレスファン。

 おもむろに、その近くに座っていたドジャースファンが、この日の入場者特典だったドジャース応援用の青いタオルをパドレスファンに渡した。「これを回せよ!」というようなジェスチャーをみせ、パドレスファンが青いタオルを回す。

 いきなり3点のビハインドを負ったドジャースファンだが、悲壮感はない。別の席からは「これ(3点)はサンディエゴへのギフトだ」「大谷が打ってくれるさ」という声も飛んでいる。

 ファンの予言通り、二回に大谷翔平が同点3ランを放った。「MVP」コールに沸き返るスタジアム。先ほど青いタオルを渡していたドジャースファンが、再び同じパドレスファンに「回す?」と、タオルを渡そうとしている。

 これには両手を上げ、「お手上げだよ」という表情のパドレスファン。同点に追いつかれたが、やはりこちらにも悲壮感はなく楽しそうだ。

 試合はドジャースが7―5で勝利した。

 試合後、ドジャースファンの…

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