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インタビューに答える永野毅・経団連副会長=2025年7月17日、東京・大手町、相場郁朗撮影

 経団連が6月にまとめた巨大地震に備えた総合対策の提言は、約1700の会員企業・団体に対応を促し、政府には災害に関する情報開示を求めた。政府が今秋見直す「首都直下地震緊急対策推進基本計画」に反映される可能性がある。経団連の危機管理・社会基盤強化委員長として提言をまとめた永野毅副会長(東京海上日動火災保険相談役)に課題を聞いた。

 ――提言には、「企業は防災・減災対策に率先して取り組む必要がある」とあります。なぜ、そのような認識に立ったのですか。

 「世界は自然災害で年間約35兆円の経済損失を出していますが、(年によって差はあるものの)日本はそのうち約2割を占める災害大国です。企業は社員を雇い、製品をつくり、サプライチェーン(供給網)を構築しています。企業活動の途絶は日本経済、人々の生活の継続にも直結しますから、防災・減災に取り組むのは責務でしょう。経団連の会員企業・団体には、提言をふまえ対策を加速させることを求めます。先駆的な事例は公表を検討します」

 ――企業の事業継続計画(BCP)は、企業規模による策定率の違いが顕著です。

 「大企業のBCP策定率は約76%ですが、中堅企業は約45%です。規模の小さい企業は賃上げや人手不足、トランプ関税など、様々な困難に直面し、単独でBCPを策定するのが難しいのはよく承知しています。ですので、地域金融機関や自治体などと官民が連携してBCPをつくることを求めていきます」

インパクト投資 日本も拡充を

 ――企業の取り組みを加速す…

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