Smiley face
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なおにゃんさんが描いた電話恐怖症に関するイラスト=本人提供

 ほのぼのした絵が人気のイラストレーター「なおにゃん」さんは、電話の音がプルルと鳴ると、心臓が跳ねる思いがする。電話を苦手とする「電話恐怖症」になったきっかけや向き合い方を語ってもらった。

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メールで済むのになぜ電話?

 子どもの頃、電話が怖いと思っていなかった。高校生のときに携帯を持ち始めてから、電話が「ちょっと特別なもの」に変わった。

 普通のやり取りはメールで済むのに、電話がかかってくるのは、よっぽどのことだと。

 電話が怖いと思った最も古い記憶は、親元を離れて、北海道の大学に進学した頃。親との電話にプレッシャーを感じるようになった。

 親から電話がかかると、ビクッと驚き、「家で何かあったのかな」と不安が頭をよぎった。

 加えて、親は「まず電話をかける」ような世代で、母親は極度の心配性だった。電話に出ないと問い詰められることもあったし、不在着信の履歴が母親で埋まるときもあった。

 「かかってきたらすぐに出なきゃいけない。相手に心配をかけないために明るく振る舞わなければいけない」

 その強迫観念は今も続く。

就職して苦しんだ”二重のストレス”

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固定電話を取る手

 大学卒業後、出版社に就職した。慣れない仕事の電話を取ることにストレスが重なった。

 「どんな声色、トーン、音量で話せばいいのか、敬語もわからなくて、特に新人の頃はすごく苦労しました」

 最初の3カ月間は、書店営業の仕事を任された。書店からバンバン注文の電話が入ってくる。相手の話すテンポが速くて本のタイトルや注文数をメモするのが間に合わなかったり、固定電話の転送の操作方法がわからなくて間違えて切ってしまったり。電話に出る度にパニックになった。

 そんな自分の会話を、周りの…

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