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帝京大学文学部教授の大川清丈さん

 「そんなに頑張らなくてもいい」と言われるようになった一方で、「頑張ります」も今なお聞きます。もしかしたら「頑張り」という言葉は、日本社会のありようを映しているのではないでしょうか。「『頑張る』『頑張れ』はどこへいく 努力主義の明暗」の著書がある、帝京大学文学部教授の大川清丈さんに聞きました。

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 「頑張る」の辞書的な意味には、忍耐と努力の要素があります。ここには、誰でもやればできるという「能力平等観」が関係しています。生まれつきの能力は、もちろん差がゼロとは言わないが、あまり違わないという見方です。差があっても後から挽回(ばんかい)でき、結果は「頑張り」次第、となります。英語に「ギフテッド」という言葉がありますが、これは神から与えられた才能、というような意味で、欧米では能力はもともと一人一人違うものだとの前提があるようです。キリスト教の概念が影響していると考えられます。

 歴史的に見てみましょう。日…

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