2024年6月28日~7月1日に開かれた北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会総会に参加する金正恩総書記(中央)。朝鮮中央通信が配信した=朝鮮通信

北朝鮮インサイト⑬

 北朝鮮では朝鮮労働党機関紙の労働新聞が6月下旬、現在の最高指導者、金正恩(キムジョンウン)総書記のバッジを胸に付けている高官の写真を掲載しました。そのほかにも金正恩氏の偶像化を加速させるような変化が目立ちます。北朝鮮は何を意図しているのでしょうか。公安調査庁で長く北朝鮮を分析してきた坂井隆さんは一連の動きを、「人民たちに金正恩氏が示す『将来の夢』を信じさせ、献身させる狙い」と指摘します。

【連載】北朝鮮インサイト

核・ミサイル開発に邁進し、日本にとってやっかいな隣国・北朝鮮。この国は実際どうなっているのか。40年以上にわたり、北朝鮮を分析してきた元公安調査庁職員による、プロフェッショナルの見方をお届けします。

 〈箱田〉韓国政府関係者も金正恩バッジの出現には驚いていました。金正恩氏は40歳とされています。ちょっと早くないですか。

 〈坂井〉バッジだけでなく、5月下旬には、党中央幹部学校に祖父の金日成(キムイルソン)主席、父の金正日(キムジョンイル)総書記とともに金正恩氏が並んだ3人の肖像画が掲示されているのを、北朝鮮メディアが公開しました。いずれも公式に報じられるのは初めてです。

北朝鮮ウォッチャー 坂井隆さん

さかい・たかし 1951年生まれ。78年に公安調査庁に入庁し、ひたすら北朝鮮をウォッチし続けてきた。2012年に退官後も独自に分析を進め、その手腕は専門家らの間でも高い評価を得ている。共著に「独裁国家・北朝鮮の実像」(17年、朝日新聞出版)など。

北朝鮮独特の地位「首領」とは

 〈箱田〉これらは何を意味しているのでしょうか。

 〈坂井〉金正恩氏を金日成…

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