トランプ米大統領がサウジアラビアを訪問した。サウジは中東の地域大国だが、最近ではロシアのウクライナ侵攻をめぐる停戦協議の舞台ともなり、国際社会での存在感を増している。トランプ氏との浅からぬ関係とは。
――サウジの実権を握るムハンマド皇太子とはどんな人物なのか。
ムハンマド氏は副皇太子だった2016年に石油への依存度を下げて経済の多角化をはかるための改革指針「ビジョン2030」を打ち出した。厳格なイスラム教の国という印象から抜け出すため、女性の社会進出に取り組み、女性がスポーツ観戦や自動車の運転もできるように規制を緩めた。エンターテインメントなどの産業の育成にも取り組んでいる。
こうした「開かれたサウジ」のイメージと国際的な威信が大きく傷ついたのが、18年10月に起きたトルコのサウジ総領事館でのサウジ人記者殺害事件だった。「サウジに代償を払わせ、のけ者にする」と批判していた米国のバイデン前大統領は、就任直後の21年2月にムハンマド氏が殺害を「承認した」と結論づけた調査報告書を公表し、両国の関係は悪化した。
ロシアのウクライナ侵攻、停戦協議の場に
――サウジとトランプ氏との関係はどうなのか。
1期目に蜜月だったトランプ…