働き盛りの私たちは、親の老いとどう向きあったらよいのか。将来、介護が必要になる時に備えて、今何をしておくべきなのか。「親不孝介護~距離を取るからうまくいく」の共著があり、企業で働く人たちの介護相談に応じているNPO法人となりのかいごの川内潤代表理事(44)に聞いた。
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川内さんによると、親が元気なうちに取り組むと良いことは二つある。一つは、支援機関とつながっておくこと、もう一つは両親との対話だ。
健康状態をまずチェック
一つ目の支援機関とは、地域包括支援センターのことだ。いわば「高齢者のよろず相談」の窓口で、行政が委託をした公的な機関。人口2万~3万人に一つ、都市部であれば、中学校区に一つ設置されているという。
川内さんは「多くの方が、困ってから相談する場所だと思っているけれども、そんなことはないんです」と話す。地域のお年寄りの健康寿命を延ばすことも業務の一環といい、「いざという時に地域でどんなサポートを受けられるか」という情報収集を、家族が事前に電話で行うこともできるという。
「説明を1回受けていると、いざとなったときの連絡のしやすさが相当変わります」と川内さん。
NPO法人となりのかいごでは、厚生労働省の資料をもとに「家族の不安解消!チェックシート」を作り、公表している。「ここ最近、外出の回数が減ってきている」「同じ話題を繰り返し話すことがある」などの項目が三つ以上当てはまる場合は、一度センターに連絡をとるとよいという。
「対話」で探る幸せな生き方
二つ目の対話は、できるならば、両親がどのようなことを大事にして生きているのか、どんなことをしていると幸せを感じるかを、繰り返し対話していくことだという。対話をすることで、親が考える機会をもち、子どもの側も自分事として考える機会になる。
川内さんは「私たちはもう一度、何が本当に幸せな生き方なのか、年の取り方なのかを考える機会をもつべきだと思います」と指摘する。「親にとって、自分にとって本当に何がいい関わりなのかを考えていく。大切なのは、思考停止しないことです」と話す。(鈴木彩子)
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