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 パレスチナ自治区ガザで米NGO「ワールド・セントラル・キッチン」(WCK)の職員がイスラエル軍の空爆で死亡した問題をめぐり、人道支援関係者らの安全に対する懸念が高まっています。

 イスラエル軍トップのハレビ参謀総長は2日夜のビデオ演説で「攻撃は夜間の誤認」と釈明。これに対し、WCK創設者で有名シェフのホセ・アンドレス氏は3日、ロイター通信に、イスラエル軍は事前の調整にもかかわらずWCKの3台の車を「1台ずつ組織的に攻撃した」と説明し、「爆弾を間違った場所に落としたという不運な状況ではなかった」と非難しました。

 パレスチナ自治区ガザで食料支援をしていた米国のNPO「ワールド・セントラル・キッチン」(WCK)のスタッフ7人がイスラエル軍の空爆で死亡した問題をめぐり、国際社会から非難が相次いでいます。

 WCKによると、亡くなったのは英国、オーストラリア、ポーランド、パレスチナの出身者と、米国とカナダの二重国籍者。

 米バイデン大統領は声明で、「激しく憤り、心を痛めている」と強い言葉で非難。イスラエルが約束した調査の迅速な実施と結果の公表を求めました。

 国連のグテーレス事務総長はX(旧ツイッター)に「不道徳だ」と投稿。英スナク首相と豪アルバニージー首相もイスラエルのネタニヤフ首相に電話で懸念を伝え、日本外務省も声明で「深く憂慮する」として、再発防止を求めました。

 イスラエル軍トップのハレビ参謀総長は「攻撃は夜間の誤認によるもので、あってはならないことだった」とビデオ演説で釈明し、「重大な過ちだった」と陳謝しました。

イスラエル・パレスチナ問題をめぐる動きを時系列でお伝えします。

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■■■2024年4月4日(日本時間)の動き■■■

イスラエル軍が全戦闘部隊の休暇を取りやめに 対イラン緊張で

 イスラエル・メディア「タイムズ・オブ・イスラエル」によると、イスラエル軍は4日、すべての戦闘部隊の休暇を取りやめることを明らかにした。「必要に応じた態勢の見直し」としており、1日に起きたシリア・ダマスカスのイラン大使館空爆にともなう緊張の高まりに対応するためとみられる。

 イスラエル軍は3日にも、防空態勢の強化や新たな予備兵の召集などを明らかにしている。

カタール首相「交渉は2月と同じ点で行き詰まり」

 パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘をめぐって、戦闘休止や人質解放の交渉を仲介するカタールのムハンマド首相は3日、再開した交渉の経過について「2月と同じ点で行き詰まっている」と述べ、進展が乏しいことを示唆した。AFP通信などが伝えた。

 ムハンマド氏によると、交渉では、ガザ地区内で避難民となっているパレスチナ住民の帰還の実現をめぐるハマスの要求が最大の争点となっており、イスラエルがこの要求に反対しているという。イスラエルが収監するパレスチナ人とハマスが人質にするイスラエル人の交換も合意点が見いだせていないという。

 ムハンマド氏は記者団に「何らかの妥協点が生み出されるように最善を尽くしている」と話した。

 交渉は当初、3月10日前後に始まるラマダン(断食月)までの合意を目指していたが難航し、イスラエルのネタニヤフ首相が3月29日にあらためて交渉再開を承認した。

WCK創設者「イスラエル軍は順番に車を狙った」

 パレスチナ自治区ガザで食料支援活動をしていた米NPO「ワールド・セントラル・キッチン」(WCK)のスタッフがイスラエル軍の空爆を受けて死亡した問題で、WCK創設者のホセ・アンドレス氏は3日、イスラエル軍の攻撃は車列を組んでいた3台の車を1台ずつ順番に狙ったものだったと明らかにした。ロイター通信のインタビューに応じた。

 アンドレス氏はロイターとのビデオインタビューで、WCKとイスラエル軍の間には明確な意思疎通があり、同軍は人道支援物資の食料を運搬するWCKの動きを把握していたと指摘した。その上で、「これは単に爆弾をうっかり間違った場所に落としたという不運な状況ではなかった」と話した。

 地元メディアによると、イスラエル軍は初期段階の調査で、空軍のドローン(無人機)がWCKの車列を攻撃したと認めた。一方で、ネタニヤフ首相は2日のビデオ声明で空爆について「意図しなかった悲劇」とした上で、「戦争ではこうしたことが起こる」と述べていた。

 WCKの3日の発表によると、イスラエル軍の空爆で死亡したのは、20~50代の職員7人で、英国人3人のほか、オーストラリア人とポーランド人、パレスチナ人、米国とカナダの二重国籍が各1人。WCKは声明の中で「彼らの笑顔や笑い声は私たちの記憶に永遠に刻まれている」と亡くなった職員を惜しんだ。

■■■2024年4月3日(日本時間)の動き■■■

ハマス最高指導者、停戦は「イスラエル軍の撤退が条件」

 パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止や人質解放の交渉をめぐって、イスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ政治局長は3日のテレビ演説で、恒久的な停戦やガザからのイスラエル軍の撤退が条件になると述べた。ロイター通信が伝えた。

 ロイターによると、ハニヤ氏は演説の中で、「我々は自分たちの要求に全力で取り組んでいる」と述べた上で、イスラエル側に一時的な戦闘休止ではなく恒久的な停戦やイスラエル軍の完全撤退、ガザの市民への人道支援の配布の許可、収監中のパレスチナ人とイスラエル人の人質の交換を求めた。

 エジプトとカタールが仲介するイスラエルとハマスの交渉をめぐっては、イスラエルのネタニヤフ首相が3月29日、対外諜報(ちょうほう)機関モサドの長官らに交渉再開を承認。イスラエルメディアは、同国の代表団が同月31日にエジプトのカイロに到着したと伝えている。

ローマ教皇が「深い遺憾の意」 イスラエル空爆によるNPOスタッフ死亡

 パレスチナ自治区ガザで食料支援をしていた米国のNPO「ワールド・セントラル・キッチン」(WCK)のスタッフ7人がイスラエル軍の空爆で死亡した問題をめぐり、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(87)は3日、水曜日定例の一般謁見(えっけん)で「深い遺憾の意を表する」と述べた。バチカンメディアが伝えた。

 教皇はバチカンで行われた一般謁見の際に、「ガザ地区での即時停戦をあらためて強く訴えたい」と発言。亡くなったWCKのスタッフたちのために祈りを捧げた。その上で、「疲れ果てて苦しんでいる民間人への人道援助を許可し、人質を直ちに解放するように新たに求める」と訴えた。

 教皇は、カトリック教会で最も重要な行事である「復活祭」にあたる3月31日にも、「戦争は常にばかげており、敗北だ」と述べて、ガザ地区での即時停戦を訴えていた。

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