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海楽荘1階のロビー近くの売店には外壁を突き破って土砂や樹木が流れ込んでいた=2024年9月27日午後2時34分、石川県珠洲市真浦町、椎木慎太郎撮影
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 能登北部の豪雨による濁流は、元日の能登半島地震からの復旧の拠点になっていた宿を営む男性を襲った。行方はわからず、家族は帰宅を待ち続ける。28日で豪雨から1週間となる。

 目の前に日本海、背後には緑深い山。すぐ脇に垂水川が流れる。ここに石川県珠洲市真浦町の「ホテル海楽荘」がある。

 経営者の池田幸雄さん(70)は、妻の真里子さん(68)らと元日の地震後、復旧工事の作業員らをもてなしてきた。

 21日は朝から激しい雨だった。真里子さんは1階ロビーの椅子に幸雄さんと腰掛け、玄関のガラス戸越しに外の様子を見ていた。宿に面した道路は川のようになっていた。

 突然、山側にあたる背後から宿の壁を突き破り、泥水が中に押し寄せてきた。2人は外に流された。通り沿いの木にひっかかるようにしてとどまっていた幸雄さんを助けようと、真里子さんは手を伸ばした。

 あと10センチ。そのとき…

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