結成20周年を迎えるAKB48に、「魚をさばく」異色のアイドルがいる。花田藍衣さん(20)。「めいめい」のニックネームで親しまれ、お披露目から1年半足らずでシングル2作連続の選抜入りを果たした。8月15日の「刺し身の日」にちなみ、そんな「“新鮮”力」を紹介する。
花田藍衣、魚をさばきます《前編》
「めんたい! めんたい! めいめい!」
ステージでの自己紹介は、大好物「めんたいこ」の連呼から始まる。
小さな体から発する甲高い声と笑顔。とにかく「イキ」がいい。ファンの心を一瞬にしてつかむ。ウィンクも得意な天性のアイドルだ。
13日にリリースされたばかりの20周年記念シングル「Oh my pumpkin!」では、前田敦子さんや指原莉乃さんら「レジェンド卒業生」とともに選抜メンバー入り。レッスンや歌番組で、時間をともに過ごす。
「現実味がなく、ずっと緊張しています。私が本当にここにいていいのかと……。でも今の私にないものを先輩から吸収していきたいと思っています」
「キュルキュルなかわいさ」に衝撃
アイドルの存在を意識したのは、小学生のころ。姉の影響でAKB48の大ヒット曲「ヘビーローテーション」のミュージックビデオを見て、衝撃を受けた。
「画面の中でみんなキラキラしていて、キュルキュルなかわいさで……。これだ! 私はこれを人生で追いかけるんだ!」と直感した。
ほうきをマイクスタンドにして、夢中になって踊った。それまでは熱中するものがなく「モノクロだった人生」が、急に色づき始めた。
不合格で気づいた「アイドルになりたい」
高校生になった約10年後、再び衝撃を受ける。2023年9月にリリースされたAKB48の62作目シングル「アイドルなんかじゃなかったら」。センターは、4歳上の小栗有以さんだった。「今のAKB48も、こんなにキュルキュルしてかわいいんだ」
高校卒業後は和食の料理人になろうと、専門学校への進学を考えていた。その気持ちに、変化が芽生え始めた。
高校3年の春、アイドルのオーディションを受けてみた。結果は3次審査まで進みながら不合格。悔しかった。そのとき、自分の気持ちにはっきりと気づいた。「私は本当にアイドルを目指したいんだ」
周囲にも「アイドルになりたい」と公言し、AKB48の19期生オーディションに臨んだ。高校卒業目前に合格を決め、あこがれの道を歩み始めた。18歳の春だった。
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◆花田藍衣(はなだ・めい) 2005年6月5日生まれ、神奈川県出身。24年3月、AKB48の19期生としてお披露目された。今年4月にリリースされたグループ65作目シングル「まさかのConfession」で初選抜。7月からはラジオ番組「AKB48伊藤百花と花田藍衣のひと“花”咲かせたいっ!」のMCを務める。
◆AKB48 20周年イヤー特設サイト https://www.akb48.co.jp/lp/akb48_20thyear/
- 【後編はこちら】「魚をさばく」アイドルの誕生秘話 唯一無二の存在感でセンター狙う