鬼に扮して観光客を出迎える菊池さん(右)と斉藤専務(中)。この後、豆の集中砲火を受けてホームに倒れ込んだ=2025年2月2日午後0時30分、高千穂町の天岩戸駅、星乃勇介撮影

 節分の日の2日、高千穂町に「鬼」が現れた。

 高千穂あまてらす鉄道(あま鉄)の天岩戸駅。正午過ぎ。観光客を乗せた「列車」(スーパーカート)がホームに近づくと、待合所から2人の「鬼」が飛び出て、大声で待ったをかけた。

 「ここはワシの縄張りだ! 人間どもは出て行け!」。模造刀を振り上げ、いまにも襲いかかろうとしたその瞬間、乗客が集中砲火のように豆をぶつけ始めた。

 逃げる鬼、飛び散る豆。観光客は大喜び。鬼が「降参」と言ってホームに倒れ込むと、カートは発車。くすくす笑う声を残し、ゆっくりとあま鉄最大の見どころ、高千穂鉄橋を渡り始めた。

 イベントは県立高千穂高とあま鉄が組んだ探究学習の一環。山間部にある高千穂の冬は寒く、どうしても客足が鈍る。この課題を解決するため「集客の一助に」と2年生11人が節分に合わせて「鬼退治」を仕掛けた。

 鬼を務めたのは普通科の菊池健吾さん(16)。「楽しんでくれたかな? 今後も話題を作ってあま鉄を盛り上げたい」。もう1人の鬼、専務の斉藤拓由さん(50)も「生徒が地元の魅力を学ぶお手伝いができたら」と話した。

共有
Exit mobile version