いじめを防ぐ「脱いじめ傍観者教育」で話す谷山大三郎さん=スタンドバイ提供
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 いじめを相談しやすい環境と同時に、いじめに周りが気づいて手を差し伸べられる環境をつくりたい。いじめ相談アプリ「STANDBY(スタンドバイ)」は、開発者の谷山大三郎さん(41)のこんな思いからスタートした。原点になったのは、いじめを受けていた小学生のころの実体験だ。

 匿名で相談できるアプリSTANDBYは、導入する自治体の学校で、子どもたちが1人1台持っているタブレット端末やスマホで使う。相談するときは、アプリを立ち上げて「報告・相談」ボタンを押し、メッセージ欄に内容を書き込んで送信するだけ。画像や動画を付けることもできる。

 メッセージは、第三者の専門相談員が受け取り、教育委員会や学校と連携して対応にあたる。チャットで直接やりとりすることもできる。相談者の名前や性別は分からないが、アクセスコードで学校名、学年は把握できるため、緊急を要する場合は素早く動くことが可能だ。

 匿名のため相談のハードルが低く、操作も簡単。「いじめに使われることが多いSNSでは子どもは相談しづらい。そのため、専用アプリで安心して報告できるようにした」と谷山さんは説明する。

「つらいときほどSOSを出すことが難しかった」

 谷山さんは、いじめの報告・相談に対応するプラットフォーム事業を展開する「スタンドバイ」(本社・東京都)の代表を務める。谷山さん自身、「いじめの被害者だった」と打ち明ける。

 小学5年のころ、級友に容姿…

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