スーパー酪農家・安達真子さん(41)=右から2人目=を夫の永補さん(46)と2人の子どもが支えている

 子どもの頃、給食の時間が楽しみで、牛乳が苦手という友だちに代わって毎日2本飲んでいた。

 今年2月から北海道版で、「おいしい牛乳いつまでも」という記事ワッペン(随時掲載)を始めた。ポップなタイトル文字に、ホルスタイン柄や、駆けている乳牛をあしらって、デザイン部員が可愛らしく仕上げてくれた。酪農家や乳製品に関する記事に必ず付けているので、ご覧になった読者もいるはず。

 ワッペンを作ったのは、酪農家の経営が危機的な状況、という実態を知ってもらうため。日本で乳牛から搾る「生乳(せいにゅう)」は年間約750万トンに上る。うち北海道のシェアは50%超。都府県(北海道以外)が束になってもかなわない。まさしく「酪農王国」だが、円安や国際情勢で輸入飼料は高騰し、光熱費や輸送コストも上昇する。

 そんな取材を始めて数カ月。最大の収穫は「しべつ牛乳」を知ったこと。本当は誰にも教えず、独り占めしたいのだが、あんなおいしい牛乳は飲んだことがない。

 JA標津(しべつ)が独自の厳しい品質基準を設けて、酪農家もそれをめざして切磋琢磨している。地元だけで流通し、町教育委員会は、こども園、小・中学校、高校の給食に約630人分を日々提供。町内のスーパーでも入手できるが、お値段は少し高めだ。

 舌が肥えた標津の子らは、家庭の食卓でも、しべつ牛乳をせがむように。家計をやりくりする保護者は、牛乳の紙パックを使い回し、別の牛乳を入れて冷蔵庫に保管するが、一口飲んだだけでその違いを見抜かれるという。

 JA標津が、お取り寄せの直販サイトを設けている。“北海道酪農のすばらしさ”を一度お試しあれ。

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